STORY

横浜の片隅にある建築設計事務所「リグリー」で、営業補佐として働く香奈子。誤字脱字の多い年下の雑な営業と、奇抜なデザインばかりで顧客と折り合いの悪い設計士、そして数字に細かく大胆な勝負ができない社長とともに、今日も地味な雑務をこなしている。

かつては「勝利の女神」と仇名されるほどにプレゼンが得意な敏腕OLだった香奈子は、結婚を機に勤めていた広告代理店を寿退社する予定だった。仕事ができるゆえに、抱えていた残務や付き合いの宴席が多く、結婚後も帰宅が深夜になることがざらだった。帰りの遅い香奈子に業を煮やした夫が不倫の末に出て行った後、ようやく香奈子の退社が決まる。香奈子は仕事も恋も、夢見ていた家庭も失った。

すべてを失った香奈子は、友人のツテを頼って「リグリー」に入社。人生の目的を見出せないまま、変わらない日々を過ごしている。またいつか、私にも輝かしい日々がやってくるのだろうか。そんなきっかけを夢見ながら。

小さなつまずきをきっかけに、思い描いていた人生からドロップアウトしてしまった時。自分一人では立ち直れない時。周りの人の優しさや、励ましや、支えが、新しい人生を始めるきっかけになるかもしれない。心の扉に鍵をかけることなく、素直に周りを受け入れることで、人生が再び動き出す。一度は失ってしまった夢や希望を取り戻し、一人の女性が再び歩き出す姿を描いた物語。

閉塞感漂う現代において、失敗して勇気を失っている人に向けて届けたい。もう一度がんばろう。仕事も恋も失った30代の女性の再起を描く、直球勝負の大人の胸キュンラブストーリー。